ペットの避妊と去勢
 明瞭な目的があればもちろん避妊はしなくてもいいと思いますが、最近、開業して
 14年ほどになりますと、最初からの患者さんである犬や猫の避妊手術、 去勢手術
 をしていなかったために起きる病気が10歳を過ぎて多くみられてきています。

 雌に関しては子宮蓄膿症、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍などがそうですが特に子宮蓄膿症は
 命に関わる病気で、主に外科的な処置が必要です。乳腺腫瘍は悪性と良性腫瘍とに
 分かれますが、大型犬と猫では悪性腫瘍、いわゆる「乳がん」が多く、特に猫では
 8割ぐらいは「乳がん」で、気づくのが遅いと肺に遠隔転移をしていたりして、
 なすすべがないこともあります。

 雄では圧倒的に前立腺肥大が多く、また睾丸のホルモンの影響によって、肛門周囲
 に腫瘍が出来る肛門周囲腺腫(これはほとんど良性ですが、たまに悪性のものも
 あります)が発生したり、また会陰ヘルニアといって尾の付け根が膨らんでくる
 ヘルニアが発生したりその中には、時に前立腺や膀胱が入っていたりすることも
 あります。
 子犬の時期にこのような話をしても、なかなかピンと来ないのはよく分かりますが
 人間と異なりあっという間に年齢がいってしまうので、やはり飼ったときから
 この 問題は考えていたほうがいいと思います。


術中の子宮の状態 子宮卵巣摘出後の皮膚縫合
摘出した卵巣と子宮

 なお、経験上から1歳を超えて手術を受けた場合などは肥満になりやすい傾向に
 ありますので、繁殖を目的としないのなら、6ヵ月ぐらいから1年までの間に
 手術を受けて
おくのが理想的だと思います。

 飼い主の方からみれば、手術をしたいために言っているのではないかと思われる
 方もいらっしゃるかもしれません。
 確かに手術を行うことにより収入にはなりますが、それだけで言っているのでは
 なく、経験上、上記のような病気にかかった場合、高齢で高いリスクを背負って
 手術をしなくてはならないことが多いので、我々側も飼い主の方も精神的な負担も
 大きくなるため、出来るだけ健康状態のよい時に手術を勧めている次第です。